こんなお悩みはありませんか?
- 肘の内側が張って痛い
- 肘が伸び切らない
- 投球時に肘が痛い
野球肘を引き起こす主な疾患
野球肘を引き起こす疾患には以下のようなものがあります。
1.内側型野球肘
内側側副靭帯(MCL)やその付着部(上腕骨内側上顆)に起こる損傷です。
野球肘の中でも一番多いのがこの内側型です。健側(非投球側)の上腕骨内側上顆(骨)は綺麗に半円状に写っているが、患側(投球側)の上腕骨内側上顆(骨)は骨、軟骨が損傷しているため乱れて写る(小学3年生)
投球過多により投球側の靭帯が肥厚している(小学4年生)
2.後方型野球肘
肘関節の後方の投球動作時に骨同士がぶつかって起こる損傷です。
骨折している場合もあり、骨が関節内に遊離するといわゆる関節ネズミに発展してしまいます。
3.外側型野球肘
野球肘の中でも特に注意しなければいけないのがこの外側型です。
離断性骨軟骨炎(osteochondritis dissecans; 以下OCD)という肘の外側にある上腕骨小頭と呼ばれる部位の軟骨組織が、投球動作によって損傷されていく疾患です。
いずれの野球肘も成長期の子どもが受傷することが多く、柔軟性の低下、投球フォームの不全、投球過多などによる疲労から起こると言われますが特に注意をする必要があるのがOCDです。
離断性骨軟骨炎(OCD)とは?
成長過程にある脆弱な骨軟骨組織に対する、使いすぎによる物理的刺激と、筋疲労による局所の血液循環の低下が原因で起こる疾患で肘のガンと言われています。
簡単に説明すると、成長期の子どもが投げ過ぎによって、軟骨を損傷した状態です。
また投球を行わない、サッカー選手にもまれにみられるため遺伝的な要因もあるのではないかと考えられています。
最近では家族に喫煙者のいる子どもはOCDの発生するリスクが上がるという研究報告もでています。
なぜ肘のガンと呼ばれるのかというと、初期には全く症状がなく、病期が進んで症状が出てくるころには長期間のノースロー、ひどい場合ですと手術を行う必要があるからです。
離断性骨軟骨炎(OCD)にならないようにするには?
投球制限や肘に負荷のかからない正しいフォームで投げることが大事です。
日本臨床スポーツ医学会の提言では
1日 | 週 | |
小学生 | 50球以内 | 200球以内 |
中学生 | 70球以内 | 350球以内 |
高校生 | 100球以内 | 500球以内 |
とされています。
ですが、チーム状況で投げざるを得ない場合など現場で厳守することは難しいことがあります。
また同じ小学生でも成長の早い子、遅い子で骨軟骨の状態も考慮しなければなりません。
現在では健康診断のように本人に自覚症状がなくても定期的な肘のエコー観察が推奨されています。
成長期の初期(骨端線が出現する小学3~4年生位)から病変が起こる可能性があるので成長が早い子は小学校3年生から検診を受けることを推奨します。
当院でも超音波エコーによる定期的な観察を行っており、異常の有無を確認しています。
異常があった場合にはスポーツ整形に招待状を書き、精密検査をお願いしています。
また、必要に応じてリハビリ、投球フォームチェックなども行います。
健側(非投球側)は綺麗に半円状に写っているが患側(投球側)は骨、軟骨が損傷しているため乱れて写る。
OCDの拡大写真
当院での定期観察の流れ
1.問診
問診票を参考に現在の痛みや張りなどの問診を行います。
2.検査
関節可動域や柔軟性、痛みの出る動きなどを確認します。
3.超音波エコー観察
肘前方→外側→内側→後方と順番に異常がないか観察します。
適宜必要に応じて、膝、肩の観察も行います。
・異常があった場合
スポーツ整形に紹介状を作成し、後日そちらで精密検査を行っていただきます。
・異常がなかった場合
今後も異常が出ないようにするための整体、鍼施術やトレーニング指導を行います。
試合や練習で安心して全力で投げたい選手、将来も競技を続けたい選手は症状が何もなくても必ず定期的な超音波エコー観察をお勧めします。