先日、二人目の子どもが生まれて浮かれている上村です。
第三回は「痛みの悪循環」シリーズ第3弾の予定でしたが、予定を変更して「fascia(ファシア)」ついてお話ししたいと思います。
突然ですが、「筋膜」や「筋膜リリース」という言葉は聞いたことがありますか?
最近はメディアなどでも良く紹介されているので聞いたことあるよって方は多いかと思います。
イメージで、筋膜は筋肉を包んでいる膜でストレッチやマッサージ等でリリースすると身体に良いだろう。と何となく理解されていると思います。
ここで一つの疑問が生まれます。何で膜に包まれている必要があるのでしょうか?日本整形内科学研究会の「筋膜」の説明を見てみます。
「筋膜」とは個々の筋線維、筋肉または筋肉群を包み、互いを分割および連結する線維性組織。筋や関節の動きを滑らかにしつつも、これらを制御して位置を保つ。
とあります。難しいですよね。例を上げて説明します。
皆さんはジャンケンをした事はありますよね!ジャンケンには「グー」「チョキ」「パー」とあります。これには指を曲げ伸ばしする筋肉が働いて行うことができます。
もし、5本の指を動かす筋肉を分割する「筋膜」が無くて一緒に動いてしまっては「グー」「パー」はできても「チョキ」が出来ないですよね。
このように人間が生活を行うなかでの動きには様々な筋肉が「筋膜」により制御されている事により成り立っているのです。
では、本題の「fascia(ファシア)」とは何でしょうか?こちらも日本整形内科学研究会の説明を参考にしてみます。
「fascia(ファシア)」とはコラーゲン線維で構成され全身にある臓器を覆い、接続し、情報伝達を担う線維性の網目状組織。臓器の動きを滑らかにし、これを支え、保護して位置を保つ。
ここでいう全身の臓器には筋肉はもちろんのこと腱、靭帯、神経や脂肪、心臓、肺などのことです。
「筋膜」は「fascia(ファシア)」のなかの一つになるのですね!
こちらが実際の「fascia(ファシア)」の画像になります。網目状になっているのが分かりますね。そして、この網目状の構造に秘密があるのです!
※人の生きた筋膜の構造参照
それは「テンセグリティ構造」です。
テンセグリティ(tensegrity)とは、「Tension(張力)」と「Integrity(統合)」をあわせた造語になります。
画像をご覧下さい。
画像にあるように、棒を紐が引っ張る張力により安定した状態になっているのです。棒と棒が離れているのに形が崩れず、次の画像のように手で押さえても手を離せば元に戻るのです。不思議ですよね。
そして人間の身体もこの「テンセグリティ構造」により成り立っているといわれています。
紐が「fascia(ファシア)」で棒が全身の臓器に当てはまりますね。
そして、この「fascia(ファシア)」に異常が起こる事により痛みや痺れ、可動域の制限がおこるとわかってきています。
「fascia(ファシア)」の異常とはコラーゲン線維自体になんらかの異常がおきて、「癒着」をおこし、「滑走性の低下」や「伸張性の低下」がおきると考えられています。
一つ例を上げてみます。是非皆さんも試してみてください。
画像のように手首を手のひら側に曲げた状態から手の甲側に返してください。この返した時の感覚を覚えておいてください。
次は手首を手のひら側に曲げた状態の時に腕の皮膚を指で軽く肘の方向へ滑らして下さい。この状態で手首を返してください。
いかがでしょう?抵抗を感じて返しにくいのを感じるかと思います。
これは皮膚を肘の方向へ滑らすことにより人工的に「fascia(ファシア)」癒着を作り出し滑走性を低下させて可動域を制限させることによりおこる現象になります。
このような「fascia(ファシア)」の異常をエコーで見てみると重積として観察されます。
この「fascia(ファシア)」の異常に対して手技や鍼にてアプローチして正常に戻すことにより痛みや痺れ、可動域の制限に対して治療を行います。
このように「fascia(ファシア)」に対して治療を行うことを「fascia(ファシア)リリース」といいます。
今回のお話は以上になります。ぜひ「fascia(ファシア)」という言葉を覚えておいて下さいね!